連載『医療の零度』 構造構成主義によるパターナリズムの再解釈

33202

看護学雑誌2月号 連載 医療の零度 第11回

構造構成主義によるパターナリズムの再解釈

現代医療では,患者の自律性を尊重することは,疑うことが許されないぐらい絶対的な位置づけあります.インフォームドコンセントや患者中心の医療(あるいはクライエント中心の実践)は実践して当たり前,できていないとどこかしらまずい気分になる,という状況ではないでしょうか.

本論で取り上げた「パターナリズム」は,こうした時代の流れでたいてい否定される実践で,患者の自律性を越えた(ときに自律性を無視して)実践を展開しようとします.パターナリズムは医療者の暴走を引き起こすことがあるため,ときに事件を起こして裁判沙汰になることがあります.医療者にとってパターナリズムは悪口の代名詞のようなもので,「お前の実践はパターナリズムだ」と言われてショックを受ける人はいても,喜ぶ人はほとんどいないでしょう.

しかし,同時にパターナリズムは,患者の利益を最大化する可能性を備えるものでもあるのです.現代医療ではたいてい否定されるパターナリズムですが,その毒性をうまく抜きとれる方法を組み立てれば,実は医療者にとっても患者にとっても役立つときがあるはずなのです.

そうした問題意識のもと,本論では,パターナリズムをうまく活用するための方法論を,構造構成主義の立場から構築していきました.パターナリズムは,一律に否定できるほど生易しい単純なテーマではありません.患者の自律性を越えざるを得ない場面に,医療者は大なり小なり必ず遭遇するためです(たとえば,意識がない患者や,重度の認知症患者を担当したとき,など).そうしたとき,パターナリズムに向きあわない医療者はいったいどうするのでしょうか?

僕の主張は,パターナリズムは使い方を誤れば他人も自分も傷つけかねないものですが,うまくコントロールすることさえできれば,現代医療でも十分役立つツールになるはずだというものです.本論で構築した「関心相関的パターナリズム」は,そうした実践を実質化しうる可能性を備えた方法論です.ぜひ看護学雑誌で全文をお読みいただけたらと思います.

http://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=33202

【社会医学技術学院の入試情報】

一般入試(Ⅱ期)

作業療法学科編入