作業機能障害にひたる

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作業機能障害(occupational dysfunction)は,作業(仕事,遊び,日常生活活動,休息)が適切にやり遂げられない状態です.作業機能障害になると,健康状態が悪化することがあります.逆に,健康状態が悪化したから,作業機能障害になることもあります.健康な人でも,「難しい仕事が入ってきてやりきれない」「趣味のサッカーをやっているのに楽しくない」「毎日の生活が単調で面白くない」という方は,作業機能障害の危険因子を経験しているので要注意です.

作業療法士は,作業機能障害に介入(あるいは治療)する専門家です.だから,作業機能障害に関する研究も盛んで,いろいろな論文や著書が発表されています.しかし,作業はコントロールするのが難しいので,作業機能障害への介入もなかなか厄介です.作業機能障害を低減しようと思っても,介入によってうまくコントロールするのは至難の業です.「予定は未定」と言う表現がありますが,作業の根っこにはこの不確実さが横たわっているためです.

そんなわけで,(作業機能障害をテーマにした原稿を書かないといけないという実務的な理由もあって)あらためてこれに関連する国内外の文献を徹底的に読みこんでみることにしました.これまで,作業療法士として作業機能障害とは向き合ってきたこともあって,論じられている内容はとてもよく理解することができました.それに,作業機能障害という観点から文献を読むのは久しぶりということもあってか,想像していた以上に,僕のなかにひそむ探求心が刺激されてしまいました.ありえないくらい興味深い.

特に,『人間作業モデル 第2版』では,作業機能障害という経験が生じるメカニズムが克明に検討されています.「あーこれって以前担当した方が陥っていた問題だよなぁ」とか「げっ!これは俺自身も体験していたかも!?」というように,私たちの経験の深いところまで届く記述がてんこもりになっています.この頃の人間作業モデルのすごいところは,作業機能障害のメカニズムを徹底的に描写している点にあって,作業療法士の叡智が濃縮されているように感じます.

さらに読んでいて興味深かったのは,作業機能障害の危険因子が作業科学者たちによってかなりクリアに同定されていたこと.犯罪を犯した精神障害者たちに対するStockton Hall Hospitalの作業療法実践なんかは,そうした知見をうまく活用したものになっていると思いました.多くの作業療法士の努力のおかげで,作業機能障害に対する対策は少しずつ確実に前進していると実感しました.そして,僕ももうちょっと作業機能障害の低減に貢献できるようになろう,と思うのでした.

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