未来から書かれた医療論

僕は以前から,SCHCという新しい医療の設計図を設定し,それに準拠したメッセージを投げかけてきました(詳細は以下の文献を参照)。
  • 京極 真:構造構成的医療論の構想-次世代医療の原理.構造構成主義研究1, 104-127,2007
  • 京極 真:構造構成的医療論(SCHC)とその実践-構造構成主義で未来の医療はこう変わる.看護学雑誌71(8),698-704,2007
  • 京極 真:チーム機能の向上.樋口輝彦(主任研究者),精神保健医療における診療報酬の在り方に関する研究.平成18年度厚生労働科学研究費補助金政策科学推進研究事業平成18年度総括・分担研究報告書,145-148,2007
  • 京極 真:職種の「間」の壁の超え方-「立場の違いを超えた連携」とはどういうことか.助産雑誌62(1),20-24,2008
ありがたいことに,SCHCの観点から実践を試みるタフな医療者も現れ,その成果は未来において明らかになることになるだろうと考えています。

でも,SCHCはある側面においていまだ実質化したことのない医療を目指すものであり,前例がないぶん意義を理解してもらえなかったり,誤解にさらされたりすることも少なくありません。

しかも,僕自身も現在進行形で切り開きつつあるテーマであるため,講演や勉強会などで説明していても言いよどんだり,グルグルまわってしまうこともあるため,聞いている方は余計にわけがわからなくなることだろうと思いますwww

もし,そういう状況に出くわしたときは,「きっとあいつも七転八倒しながら歩んでるんだなぁ」とちょっぴり余裕のある目でみてくださいまし(笑)

SCHCを構築した論文で,今読んで納得の一節を発見(?)しました。
モダン医療論からポストモダン医療論へという動向は近年になって本格的に始まったばかりであり,実際,ポストモダン医療論は最深の医療論とされている。それゆえ,SCHCは,最先端の医療論であるポストモダン医療論のさらに先をいく医療論ということになり,悪く言えば時機尚早で理解されにくい可能性が考えられる。しかし,よくいえばSCHCは未来から書かれた医療論といえるかもしれない。

上記の文章は当時,原理的に考えてそう言わざるを得ないと判断して書いたのですが,最近になって実感をもってそう思うようになりました。

先の先の先で研究ができているというのは,研究者にとっては他にかえ難いアドバンテージです(ぐふふっ)。

でも,実践家にそれを伝えるときは,だいぶ時空を巻きもどすことが必要なのだろうとも思います。

そのアドバンテージがハンディにならぬような,工夫が必要なのでしょう。

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