ベーシック・インカム

「人々が安心して作業(仕事・日常生活・遊び・休息)できる社会を構想する」という観点から社会保障を考えたとき,「ベーシック・インカム」の導入が大いに期待されると考えています。

ベーシック・インカムというのは,簡単に言ってしまえば「すべての国民に一律の金額を給付する」というものです。

つまり,この社会保障制度は,所得制限がない,老若男女も問わない,原則として国民個人に無条件の現金給付(月額8万程度で検討されているようです)を行うのです。

従来の社会保障制度は様々な条件によってがんじがらめになっているため実質的な機能不全状態に陥っています。

そして,それによって人々が意味を見出した作業に取りくめる可能性を制約しています。

だから,原則無条件給付によって国民の社会保障を行いうるベーシック・インカムは,作業療法の観点から言っても導入を検討する意義が少なくありません。

だけども,導入にはいくつか克服すべき問題があるでしょうね。

ひとつは財源,もうひとつは既得権益者の抵抗,最後にナショナリズム。

財源は従来の社会保障にかかる費用(生活保護,配偶者控除など)を撤廃したうえで,ベーシック・インカムを導入するわけですから,案外どうにかなるはずです(財政を圧迫する子ども手当てなどとはワケが違う)。

既得権益者の抵抗は,ベーシック・インカムの導入によって増税につながる層の人たちが必ず出てきますから,政治家がその反対に抗していけるかどうか。

また,財務省と厚労省の対立が超克されるかどうか。

ナショナリズムは,ベーシック・インカムがすべての国民に現金給付を行うと言ったとき,おそらく日本国民のカテゴリーをめぐって軋轢が生じるでしょうね。

そしてこれが一番根深い問題かもしれません。

そうした問題が克服されるなら,作業療法的観点からしても人々が安心して作業に取り組める社会構築に向けて,ベーシック・インカムの導入を積極的に検討していくべきだと思います。

【好評発売中】