作業療法士の将来性

受験生から作業療法士の将来性について聞かれることがあります。

僕の答えは「作業療法士の将来は明るい」というものです。

理由は,作業療法の方法がとても柔軟であり,社会的背景の変化に適応しやすいためです。

これから日本は,他国が未体験の問題に先陣をきって突入する激動の時代を迎えますから,柔軟であるがゆえに変化に適応しやすいという特徴は,かなりのアドバンテージになります。

では,どうして変化に適応しやすい特徴を持つのでしょうか?

答えは,作業療法が解決しようとする問題の特性にあります。

作業療法は,作業機能障害という問題を解決する方法です。

作業機能障害は,日々の生活を構成する仕事・日常生活・遊び・休息を適切にやり遂げられない状態です。

作業機能障害は,心身障害によって生じることもあれば,環境が悪いために生じることもあります。

また,心身障害や環境の悪化に先行して,作業機能障害が生じることもあります。

つまり,作業機能障害は,とってもマルチな問題だということです。

ということは,それを解決するために開発され,発展してきた作業療法もマルチな方法だ,という話しになります。

一般に,作業療法がわかりにくいとすれば,問題の複雑さからくる方法の複雑さにあるといえます。

だけども,平時におけるこのデメリットは,激動の時代においてはアドバンテージになりえます。

問題の起こりかたに応じて,方法そのものから変化させられる素地が, 作業療法にはあるためです。

だから,僕の見通しでは,日本の情勢は厳しくなるだろうけども,その中においても作業療法士の将来性は明るい,となるのです。

受験生のなかには将来性について,「看護師>理学療法士>作業療法士>言語聴覚士」というイメージを持たれたかたが少なくありませんが,上記の意味においてこれは違います。

そもそも,将来性を序列化すること自体,ほとんど意味なんてありません。

だけども,あえて受験生の視点にたって言えば,少なくとも可能性としては,看護師と同じぐらいか,その次ぐらいに作業療法士の将来性はある,と考えておいていいと僕は思います。

さて,以上は,僕が感受している作業療法の特性そのものから導いた,いまの時点における答えです。

だけども,それが現実のものになるかどうかは,私たち作業療法士と,これから作業療法士になろうとしているかたがたの努力にかかっています。

社会的背景の変化は,当事者にとっては脅威にうつりますし,それに適応していくのも容易くはないはずです。

実際,僕なんかも悪戦苦闘の真っ最中です。

だけども,作業療法士の将来性は,方法としては明るく見通せるのです。

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