国母選手の服装問題にみる信念対立

国母選手の服装問題は信念対立の典型的な例です。

大つかみに言えば,「オリンピック選手は国の代表として行くのだから服装もしっかりすべき」という関心を持つかたにとっては,「腰パンなどけしからん!」ということになったはずです。

他方,「服装は個人の自由である」という関心を持つかたにとっては,「腰パンは個性的だし,別に問題にするようなことではない」という思いにいたったはずです。

異なる関心をもつものがぶつかれば,たかだか服装ひとつでも今回のような騒動に発展するわけです。

具体的には,苦情がガンガンでる,開会式には参加させない,大学からの応援会を中止する,などなど。

「服装ぐらいで大騒ぎしすぎ」と思ったかたも,いったん信念対立が生じると,そこから不毛さなどを感受することによってその影響を受けることになります。

信念対立は生のエネルギーを減じますから,もし国母選手がこの状況下で最高のパフォーマンスを発揮できたら,ふつうにそれをなしとげるよりもすごいことです。

さて,こうした信念対立を解消するためにできることは,関心の妥当性を問うこと,そして妥当な関心のもとでよりよい対応を選択すること,です。

今回の場合,オリンピックでスノーボードの戦いにいっているわけですから,おそらくもっとも妥当な関心は国母選手が戦える状態になれるよう支援すること,だったはずです。

その意味において,彼の服装を問題視して過剰な対応を導いた関心は,妥当ではないということになります。

むしろ,「服装は個性だ」 という関心のほうが,戦いの邪魔になる対応を選択させないという点において,このケースではより妥当であろうと思われます。

信念対立は不毛ですし,けっして生産的ではありません。

「そもそもの関心は何だったけ? その関心のもとではどのような方法(対応)がいいんだっけ?」という信念対立を回避するために必要な態度は,そんなに難しいものではありません。

4年に一度の戦いなんですから,もっと気持ちよく応援してあげましょうよ。

せめて彼が所属する大学ぐらいは,いまこのときにつきはなすのではなく,全面的に味方をしてあげてほしかったですね。

教育は,教職員が学生を信頼しなくなったら,そこでアウトですよ。

ねぇ,ほんとに。

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