【講義資料】構造構成主義の臨床実践

1.講義・・・構造構成主義の臨床実践
(1)モチーフ
  • 医療には沢山の人が関わっている(=チーム医 療、チームアプローチ)。
  • それぞれの人がそれぞれの信念を持ち、それをとりかわし、わかちあっている。
  • しかし、いろいろな理由で、信念のやりとりがう まくいかなくなることがある(=信念対立)。
  • 構造構成主義の臨床実践は、医療に関わる人々が、うまく信念をすりあわせ、うまくやっていく可能性を創りだしていく(=相互承認可能性、共通了解可能性の担保)。

(2)信念、信念対立って何?
  • 構造構成主義でいう信念とは、「クライエントの発言を信じる」、「先生のいうことだから信じましょう」、「OTの効果を信じている」というような、自分の意志によってすすんで物事を信じる、という意味ではない。
  • ここでいう信念とは、自分の自由な意志を超えて生じてくる確信という点に意味の中心がある。たとえば、いま目の前にボールペンが見えているとしよう。すると、ボールペンがあるという確信は、たとえ自分の意志で「ボールペンなんてない」と信じようとしても、それをねじふせるようにして立ち現れてくるはずである。目の前にボールペンが見えている人にとって、ボールペンは確かにあると受けとられるのだ。
  • 医療従事者の信念は、日々の臨床を通してその都度生じている。たとえば、家族や友人から見放されたクライエントが涙を浮かべながら「もう絶望ですわ。それ以外に今の気持ちを表現しようおません」と訴え てきたとしよう。また、別のクライエントは一生懸命作った作品を完成させ、嬉しそうに見せてきたと想像してほしい。おそらく、そういった状況におかれた医 療従事者には、自分の自由意志を超えるようにして、さまざまな思考や感情がわき起こっているはずである。そのようにして意識の恣意性をねじふせるようにし て起こる確信を、信念と呼んでいる。
  • したがって、信念対立とは、自らがすすんで信じようとした事柄が、他者との間で交換できなかったり、共有できなかったりした状態というわけではない。構造構成主義でいう信念対立とは、自分自身が知らず 知らずのうちに信じていたことが、他者との間でうまく交換できなかったり、共有されなかったりするときに生じる問題である。
  • たとえば、いま目の前に死にかけている友人がいるとしよう。おそらくおおぜいの人が「助けなくちゃ!」という信念をもつはずである。しかし、瀕死のその友人の胸元には「何があっても救命しないでほし い」と書いてあるとする。(法律上の問題はさしあたり抜きにすれば)おそらく多くの人が何らかの信念対立を経験するはずである。
  • あるいは、医師が作業療法士から見て「ちょっと おかしい」と思う介入を支持されたとしよう。反論しようと思ったら、上司の作業療法士から「念のため言っておくけど、医師に歯向かうのは辞めときなさい」 と制止されてしまったとしたら、なんともいえない信念対立が起こるはずである。
  • もちろん、信念対立は一見するとそれとはわから ない状態で起こることもある。たとえば、患者さんに全力で作業療法を提供するのは当然なのに個人的な理由で身が入らず、それについて上司から「倫理に反す る」と注意された状況を考えよう。おそらくその作業療法士は「自分が悪かった」と思うと同時に、口に出してはいえないようなやりきれなを感じるはずだ。実 はこうした事態も信念対立である。倫理を守らなければならないという信念と、作業療法士といえども人間だから身が入らないときもある信念が、うまくすりあ わせできていないのである。
  • 世間でひろく流通する信念と、個人の信念がバッティングした場合、個人は自らの信念を抑えこもう とするので、いわゆる「対立」が表面化しないことが多い。しかし、だからといって構造構成主義における信念対立が起こっていないのではなく、私たちはそれ を「理解できない」、「どうすればいいかわからない」、「どうも話しが通じないなぁ」、「あの人とはわかりあえない」、「話しても無駄な気がする」、「カ ンファの後は気疲れするなぁ」などの確信(=信念)として経験しているのである。信念対立という視点で捉えなくても、そういった感度の立ち現れが、その問 題の存在を暗示している。
  • この信念対立は、徹底して個人の経験の問題であると同時に、社会の問題でもある。だから、現実の 世界で信念対立を解消するためには、関係する人たちみんなの信念を解きほぐすのが、理想ではある。しかし、理想が現実にならないことは、想像以上に多い。 そのため、実際のところ、個人や関心を共有できる人達のあいだで、ほそぼそと信念対立の解消に取りくむことが少なくない。そのため、信念対立はいつでもど こでも再燃する可能性を、かなりのケースでもつことになる。つまり、一旦生じた信念対立が完全解消できることは、とても難しい。
  • 場合によっては、信念対立の解消に挑むよりも、 そこから立ちさることのほうが妥当な場合もある。なかには、「責任と義務を放棄することになるのではないか」と思い悩む人もいるが、責任と義務は人間が互いの関心を尊重しながらこころ楽しく生きることができる限りにおいて有効なフィクションに過ぎず、超越的な根拠などどこにもない。したがって、それを守ることによってズタボロになっては、本末転倒である。逃げるチャンスがあれば、それでもよいのである。
  • では、信念対立という問題の本質はなんなのか。 すなわち、なぜ信念対立は解消すべき問題なのか。結論から言えば、信念対立は、信念が意識の恣意性を超えて生じる確信であるがゆえに、自らの自由意志に基 づいてコントロールすることができず、その交換や共有がうまくできないときに相手をねじ伏せてでもそれを認めさせようという動きになってしまうためだ。こ の先に待っているのは、突きつめれば生物的、社会的な殺しあいしかない。それでもよいと言う人に、説得できる言葉を残念ながらぼくは持っていない。だが、 すこしでもこころ楽しく生きることに関心がある人であれば、信念対立の問題性に多少なりとも共感できるはずだ。
  • 課題:ここ最近、信念対立を感じた経験はありますか?

(3)構造構成主義(別称:構造構成学 Structural constructology)とは何か?
  • 構造構成主義とは人間諸科学の信念対立を解消す るための原理である。
  • 人間諸科学においては、伝統的には量的・質的といった研究方法を巡る信念対立が挙げられるであるし、近年質的研究が認められるよう になってからは「質的研究」内部における信念対立も生じている。
  • 構造構成主義は、認識論ではフッサールと竹田青 嗣の現象学、存在論ではロムバッハの構造存在論、記号学ではソシュールと丸山圭三郎の言語論、構造論と科学論では池田清彦の構造主義科学論といったよう に、認識論、存在論、記号論、構造論、科学論の諸成果を踏まえて有機的に統一するかたちで開発されている。
  • 構造構成主義が体系化されて5年が経過した現 在、医学、看護学、精神医学、理学療法、作業療法、教育学、文学、心理学、社会学、哲学、歴史学、質的研究、統計学、実験心理学、実践原理論、障害論、 QOL理論、EBM、NBA、ソーシャルワーク、異職種間連携、チーム医療といった数多くの領域に導入され、少なくとも180を越える論文や雑誌、書籍が公刊されている(http://sites.google.com/site/structuralconstructivism/home/literature_database)。
  • 構造構成主義の方法論は多様だが、信念対立を解 消する中核原理として志向相関性をお いている。志向相関性は、価値、意味、存在は身体、目的、欲望、関心に相関して規定される、こととして定式化している。たとえば、ウジ虫は通常「気持ち悪 い」という意味をもつが、糖尿病性潰瘍の治療に関心がある人にとっては「貴重な治療道具」という意味を帯びることになる。志向相関性は、意味、価値、存在 が成立する理由を解き明かしていく思考法となる。
  • 志向相関性によれば、それぞれの人の自由意志を 超えて成立する信念もまた、身体、目的、欲望、関心によって暗黙のうちに規定される、と考えることになる。たとえば、多くの医療従事者にとって「病気の治 療」は当たり前の信念として成立しているはずだが、その前提には「人々の苦痛を和らげたい」という関心が横たわっている。言い換えれば、それとは異なる関 心(例:早く死んでくれ)をもつ人にとって、「病気の治療」は当たり前の信念などではないことになる。構造構成主義の方法のひとつは、この志向相関性に よって、多様な信念が成立する理由を明らかにすることで、それぞれの人がもつ異なる信念をとりかわしやすくし、シェアしやすくしていくところにある。

(4)構造構成主義の臨床実践とは?
  • 臨床実践に構造構成主義を応用したものであり、構造構成的医療と呼ばれている。構造構成主義における実践論の 拡張に、構造構成主義と構造構成的医療の違いが認められる。
  • 構造構成的医療の方法論には、目的相関的実践原 理、関心相関的協業法(インフォームドコンセント&パターナリズム)、SCEBP、関心相関的よい医療判断法、QOLアプローチ法、関心相関的本質観取、 4条件メソッドなどがある。
  • 臨床実践例の紹介
    • 山森真理子:療養病棟における異職種間の信念対 立と構造構成的医療の実践(第44回日本作業療法学会ポスター発表)
    • キーワード:チーム医療、信念対立、構造構成的 医療
      • 【はじめに】 近年、医療において異職種間の信念対立が問題視されつつある。京極は人間科学の信念対立を克服するために体系化され た構造構成主義を応用し、構造構成的医療という新しい方法論群の研究開発に取り組んでいる。しかし、これまでの発表された研究は理論、方法論に関するもの が中心であり、臨床応用について検討したものはない。今回、療養病棟で生じた異職種間の信念対立を低減するため、構造構成的医療の適用を試みた。本論で は、その実践経過から確認された成果と課題を検討する。【対象】 対象者はチームを構成する看護師3名、介護士1名、ソーシャルワーカー1名、理学療法士 2名、言語聴覚士1名、作業療法士2名(筆頭筆者)だった。チームでは、カンファレンスを定期的に行うが、医師や看護師が関心を持つクライエントの治療方 針のみ語られ、異職種間の意見交換は実施されなかった。また、職種間でクライエントに対する介入目標が共有できず、職種の壁を越えた連携ができなかった。 【方法】 筆頭筆者は、上述したチームの現状を信念対立によるものと考え、構造構成的医療の方法の1つである目的相関的実践原理を採用した。目的相関的実 践原理とは現実的制約を踏まえつつ、目的達成できる可能性の方法を柔軟に採用し、活用するための技術を提供する。筆頭筆者はこの方法により信念対立を分析 し、それの低減に向けた介入を行った。【結果】 信念対立を分析した結果、現実的制約としては医師や看護師の意向が強く反映されすぎて異職種間で意見交換 ができない、などが挙げられた。また、目的は、異職種によって異なる目的が暗黙のうちに構成され、共有できる目的が設定されていない、などが挙げられた。 方法は、職種間の連携を促進する方法を持つメンバーがチームにいない、などが挙げられた。以上の問題を解決するため、筆頭筆者は異職種間の連携を促進でき る目的相関的実践原理を活用し、①チームが機能していないという筆頭筆者の問題意識を異職種との間で共有する、②異職種がそれぞれ持つ目的の所在を明らか にしながらコミュニケーションを行う、③各異職種の目的を踏まえつつ、カンファレンスではチームで共通了解できる目的の設定を行う、④設定された目的を達 成するための方法を柔軟に取りいれる、などの介入をチームに対して行った。介入当初は、異職種間で異なる目的を確認しながらコミュニケーションを行うと、 「またそれ?」というような反応が返ってくることもあった。また、信念対立によって感情的に疲弊するもあった。しかし、共有できる目的の構成に向かって働 きかけ続けると、以前に比べて異職種間のコミュニケーションが円滑に行われることが増えた。また、異職種間で信念対立が生じることに対する問題意識が共有 されはじめ、カンファレンスで共有できる目的の設定を行う必要性が認識され、体制作りがはじまった。【考察】 構造構成的医療を導入した成果は、信念対立 に陥った異職種間で問題意識を共有できたこと、異職種間で共有できる目的の設定する必要性を理解し、具体的な体制作りに至ったことが考えられた。先行研究 ではチームが信念対立に一旦陥ると、そこから抜けだし難くなる指摘されている。構造構成的医療は異職種を信念対立から救いだす様々な技術を提供しており、 その意義は少なくないと考えられた。他方、課題は、一度信念対立に陥ったチームはなかなか脱せられないため、構造構成的医療をグランドルールにしたチーム の状態を、動的に構築し続ける必要があることが考えられた。また、これによってチームの信念対立を低減するには、構造構成的医療に通じる実践家の存在が不 可欠であると考えた。


2.講義&グループワーク・・・関心相関的よい医療判断法
  • 関心相関的よい医療判断法とは、信念対立を解消 しながら、より妥当な医療を実践していくための「原理」である。原理とは、特定のテーマについて論理的に考えていけば多くの人が了解せざるを得ない可能性 を担保した理路である。すなわち、以下に示す原理は、信念対立に拘泥せずよい医療を実践するためには、この理屈で考えていく他ないという共通了解を成立さ せる可能性を持ったものとして提案されているのである。その原理とは2つからなる。
    • 第一原理:それぞれの関心は、それが他人の関心を侵害しない限りにおいて相互承認される。
    • 第二原理:相互承認された関心は、それがよい生に向けられている限りにおいて実質化される。
  • たとえば、極端な例だが、「医療費高騰の対策として、65歳を過ぎた高齢者は一律死刑に処する」 という医療を、ときの権力者が提案したとしよう。この提案に対して、国民が素朴に賛成・反対の意見を表明しても、信念対立を回避しながら、よりよい医療の 実践にむすびつく可能性はほとんどない。おそらく廃案になるであろうが、信念対立はくすぶり続け、いつ再燃するかもわからない状況が残る。関心相関的よい 医療判断法の観点から言えば、この問題はそれによってよい医療が実現できるかどうかという点で図られることになる。ここではまず、「医療費高騰の対策とし て、65歳を過ぎた高齢者は一律死刑に処する」という提案が、他人の関心を侵害しないかどうかが問題になる。これはすぐにわかることだが、死刑になってし まえば関心もなにもないわけだから、第一原理に反することになり、この提案は退けられることになる。第一原理と第二原理は「かつ」で結ばれているため、本 当はこの時点で検討対象から外されることになるが、念のため第二原理についても述べておく。これも簡単にわかると思うが、死んでしまえばよい生も糞もない わけだから、第二原理からしてもこの提案ははねられることになる。
  • 以上のように、関心相関的よい医療判断法は、徹 底した構造構成主義的思考法によって取りだされた理路を判断基準にして、よい医療の実践を展開していくのである。上記のような極端な例を除けば、たいてい は一部の人のあいだでは関心を相互承認できるけど、ひろくみれば難しいということが起こるはずである。その場合は、その医療に関係する人たちの間で相互承 認しうると判断できるかどうか、そのローカルな関心の相互承認がよい生に向いているか、という観点から検討すればよい。そして、もしよい医療の実践にむす びつかないけども、どうしても実践しなければならない場合は、どう工夫すればよい医療になりうるかを考えていくことになる。たいていは、この工夫を考える ことになる。
  • グループワーク
    • 小グループに分かれましょう。
    • テーマは「健康診断」です。健康診断について、 上記の原理を使って検討してください。
    • 発表
  • 治療・介入への応用例
    • 自己決定権の尊重・・・クライエントの関心は、 それが他者の関心を侵害しない限りにおいて相互承認される。たとえば、クライエントが治療拒否した場合、基本的にそれは認める他ない。医療者の関心は代替 可能だが、クライエントの関心はそうではないためである。
    • 自己決定権の上手な侵害・・・クライエントの関 心は、それが他者の関心を侵害するようであれば承認されない。たとえば、「Aさんを殺したい」という関心をもつ場合、それはAさんの関心を侵害することに なるから、その関心は認められず規制されることになる。
    • よい治療の提供・・・該当する医療に関係する人 たちが納得したうえで治療に当たれる可能性を作ることができる。
  • 医療政策への応用例
    • 納得の法整備・・・関心相関的よい医療判断法 は、現行制度よりもよい医療政策の立案に役立つ可能性を担保している。現在の医療政策は基本的に功利主義に基づいている。功利主義は最大多数の最大幸福と いう考え方が基礎にあるため、マイノリティーの関心を無視した医療政策の立案を展開してしまう(たとえば、後期高齢者医療制度)。関心相関的よい医療判断 法を使えば、マイノリティーの関心も、それが他者の関心を侵害しない限りにおいて承認され、よい生の実質化に向けて具体的な行動が行われる。つまり、少数 派を切り捨てるのではなく、少数派の利益も含めた制度設計が行われる可能性を提供できる。


3.講義&グループワーク・・・関心相関的本質観取
  • 関心相関的本質観取とは、臨床現場においてそれぞれの人が互いに「納得できるポイント」を言葉で表現していく方法である。人々が納得に至れる言い方が、ここでいう本質である。つまり、本質とは客観的事 実や絶対的真理ではないし、そもそもそういった考え方は原理的に破綻している。そうではなく、本質とは多くの人々のなかにうまく納得を生みだす表現として 受けとる必要がある。
  • したがって、平たく言うと、関心相関的本質観取は、「あるテーマ(関心)のもっとも重要なポイントはどんな言葉で表現すればいいか」という観点から遂行していくことになる。たとえば、「あるクライエントの一番の問題点は何だと思うか」という関心を定める。次に、自分の経験をよく振りかえりながら、「~がクライエントの問題」だと いう思いが生じる理由を考えて、いくつかの言葉にしてみる。その中から、関係する人々が「なるほど!うまいこと言うなぁ」などという納得できる言いあて方 が見つかれば、さしあたりそれが本質(一番大切なところ)を探しあてたと考えるのである。
  • 関心相関的本質観取をうまく遂行できれば、それ ぞれの人がもつ異なる信念を超えて、互いに納得しあえる可能性を作りだすことができる。たとえば、「障害の改善を行うことにこそ、OTの意義がある」とい う信念を持つ人と、「障害に応じて環境調整できることにこそ、OTの意義がある」という信念をもつ人がいたとする。通常、信念対立はこのような異なる信念 をもつ人たちの間で起こる。こうした状況のもとで、関心相関的本質観取を行うとするなら、自らの経験を丁寧に振りかえりながら、「OTの意義を考えるうえ で、一番の“かな め”になるのは何だろうか」を考 えることになる。するとおそらく、「どんな方法でも改善さえすればよい」「生活の再構築」「作業ができるようになる」などの表現が、いろいろつむぎだされ るはずである。そして、その中に立場を超えて「それはまぁそうかも」という感度がでてくるような言い方があれば、とりあえずうまく言葉を探り当てることが できたと考えるわけである。ちなみに、私がたどりついた答えのひとつは、「OTというのは方法だから、その意義は目的が達成できるかどうかによって変わ る。だから、OTの意義とはあらかじめ決められるものではなく、OTによる目的の達成の程度によって事後的に決まる。これが、OTの意義というテーマでお そらく一番大切なポイントになる」というものになります。これは答えの半分なのですが、さてみなさんはこの答えに「なるほど」と思えたでしょうか。
  • グループワーク
    • 小グループに分かれましょう。
    • テーマ(関心)は「医療とは何か」です。
    • 医療の本質に迫るため、「医療について考えるうえ で、もっとも大切なポイントは何か」を洞察し、グループ内で表現しあいましょう。
    • 発表
  • 治療・介入への応用例
    • 目標設定の明確化・・・クライエントと作業療法 士にとって明確な目標の設定が行える。たとえば、クライエントと作業療法士が「不安の軽減」を目標にかかげたとする。関心相関的本質観取を遂行すれば、そ のクライエントにとっての「不安の本質」を明確化していくことになる。すなわち、「不安」という一言にこめられた、一番大切なポイントは何だろうかと考え て、その言語化に務めるのだ。腑に落ちるかたちで目標設定のかなめが明確になれば、クライエント自身が取りくむべき課題がより具体的に明らかになり、目標 達成にむけた行動を促進しやすくなる。
    • 面接のまとめ・・・クライエントが語った内容を 踏まえて「どう表現すればもっとも重要な点を捉えることができるか」を考えて、言葉にし、クライエントに伝える。クライエントの語りの内容のポイントが明 らかにできれば、クライエント自身に気づきの機会となったり、理解の促進をサポートすることができる。
    • 作業の意義の強調・・・クライエントの作業経験 のなかから、もっとも重要なポイントは何かを考えて言語化し、フィードバックしていく。作業の経験の一番大切な点を伝えることができれば、「そっか、私の やってきたことにはそんな意味があるのか」などの気づきがうまれる。それにより、クライエントは自ら経験に自信を持ち、責任をもって治療をやり遂げようと 努力したり、満足できる生活を送ることができる。
    • コミュニケーション技能の向上・・・クライエン トに対して「あなたの想いは、どんな言葉で表現すれば、他の人にも理解しやすくなるだろうか?」などという質問を投げかけることで、コミュニケーション技 能の改善に向けた働きかけていく。クライエント自身が言語化しがたいときは、作業療法士が「~という表現は想いにフィットするかな?」などと言いながらヒ ントを出していくとよい。あるいは例示してもよい。関心相関的本質観取の観点から、コトバの使い方に対する機微が高まり、円滑なコミュニケーションに向け て支援できる。
    • 洞察の促進・・・クライエントに対して「それのもっとも大切なポイントは、どう言えば表せるかな?」「あなたは~と感じたとして、 それにはどういう意味があるだろう?」などと質問し、経験の意味内容をはっきりとらえられるようサポートする。言葉でうまく表現できないときは、できるだ けクライエントが「なるほど!」と納得できる言葉を探して提案していくとよい。クライエントに関心相関的本質観取の遂行を促すことによって、洞察を深める きっかけを提供できる。


4.質疑応答



5.参考文献
  • 京極 真 2010 作業療法士のための非構成 的評価トレーニングブック 4条件メソッド 誠信書房
  • 石井良和、京極 真、長雄眞一郎(編)  2010 精神障害領域の作業療法 クリニカル作業療法シリーズ 中央法規出版
  • 西條剛央、京極 真、池田清彦(編) 2010  持続可能な社会をどう構想するか 構造構成主義研究4 北大路書房
  • 西條剛央 2010 「科学的である」とはどう いうことなのかといった難問をどのように考えればよいのか?:難問を見極める構造構成主義の10の視点  International nursing review、33(2)、 27-32.
  • 竹田青嗣 2010 「本質観取」と「関心相関 性」 「看護の本質」をどう考えるか International nursing review、33(2)、 17-21.
  • 京極 真 2009 「よい医療」とは何か-構造構成主義的見解.看護学雑誌 73(4),78-83.
  • 西條剛央 2009 JNNスペシャル 看護研 究で迷わないための超入門講座 研究以前のモンダイ 医学書院
  • 加藤 温  2009  精神医療における構造構成主義の導入--構造構成的精神医療の提唱 精神医療56, 143-148.
  • 加藤 温 2009 医療現場における構造構成 主義の導入 構造構成的診療の提唱 JIM19(7)、556-559
  • 京極 真 2008 「方法」を整備する 「関 心相関的本質観取」の定式化 看護学雑誌、72(6)、530-534.
  • 西條剛央 2005 構造構成主義とは何か 次世代人間科学の原理 北大路書房
  • 西研 2001 哲学的思考 フッサール現象学 の核心 筑摩書房
  • 竹田青嗣 1993 はじめての現象学 海鳥社
  • 竹田青嗣 1989 現象学入門 NHKブックス

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