院生は考えぬくことが期待されている



大学院生は「知識不足」を理由に思考を停止させないことが大切です。

研究に取り組みはじめたばかりのころは、わからないことがいっぱいで自身の知識の不十分さを痛感するものです。

だから、たくさん勉強する。

おそらく院生は、全集を通読する、関連書籍を全部読む、かたっぱしから論文を読む、周辺領域まで勉強する、勉強会で議論する、講演会に参加する等々、できることは全部やっているはずです。

だけども、それでもなお知識不足を実感してしまう。

その際の対応が、伸びる院生と伸びない院生の分岐点になります。

伸びる院生は得られた知識を材料にしてとことん考えようとするのです。

理性がおよぶギリギリのところまで考えぬこうとする。

逆に、伸びない院生は知識不足を理由に思考が停止します。

「まだまだ知識がたりませんから」と言ってしまう。

「もっと勉強しなくちゃいけない」とつい口にしてしまう。

それが免罪符になって、思考のデッドラインまで挑戦できなくなる。

僕はこう問いたい。




「じゃ、いつ知識は十分になるのですか?」と。

一部の天才を除いて、普通は知っていることよりも、知らないことのほうが多いのです。

ほとんどの人は、何らかの点で知識不足なのです。

もちろん、ぼくもそうです。

だから、どこかで手持ちの材料だけで考えぬいていくしかない、と腹をくくることになります。

院生時代は、そのための訓練期間でもあるのです。

とことん勉強している。

たぶん、世界で誰にも負けないぐらい勉強している。

だけども、世の中にはなお知らないことがある。

院生の皆さんは、そういう矜持を胸に、思考の限界に挑戦していきましょう。