原理的思考に基づく読書法のモデル提示「構造構成主義とは何か」

読書には、書かれた内容を素直に理解するための読み方と、丁寧に吟味・検証しながら読解する読み方があります。
普通、知識を吸収するときは前者の読み方を行います。
この読み方では、著者のモチーフを踏まえたうえで、そこに書かれた内容の意味の中心を丁寧に受け取っていくことになります。
他方、新しい知識を創りあげようとしたら、後者の読み方が必要になってきます。
後者は、前者が的確にできたうえで行いますから、本来的にはリンクしています。
だけども、前者の読み方だけが読書法だと思っている方には、後者の読み方をあえて強調して伝える必要があります。

後者の読み方は、僕は原理的思考に基づく読書法と呼んでいます。
原理的思考とは「どうしてそう言えるのかな?」「なぜなんだろう?」と考えていき、大勢が納得できる理路を見出そうとする営みです。
原理的思考に基づく読書法は、著者のモチーフを踏まえたうえで、書かれた内容に対して「どうして?」「なぜ?」と問いかけていき、共通了解可能性が担保されているかどうかを丁寧に吟味しながら理解していこうとする読み方だと言えるでしょう。
当然、論文・書籍の中で「なぜなんだろう?」という疑問に答える議論が展開されていなければ、そのぶん大勢が納得できる理路がつむがれていないという話になります。
つまり、立場の違いに左右されない強靭な議論が展開していない、という話になるわけです。
逆に、「どうしてそう言えるの?」と考えながら読んでもなお了解できる議論が展開していれば、そのぶんその論文・書籍は深くて強い議論を行っている、という話になっていきます。
原理的に書かれた論文・書籍は、立場の違いを超えて了解されるタフな論じ方になっていますから、それだけアテになる内容が書かれているということができるでしょう。

原理的思考に基づく読書法は、そうでない読み方に比べて論文・書籍の深い理解をもたらしてくれます。
普通に書かれた内容を素直に理解しようとして読んでいただけでは、到底到達することができないぐらいの理解まで持っていくことができます。
なぜなら、「どうして?」と問いながら読み込んでいくことにより、論文・書籍の細部にわたって思考を巡らすことになるためです。
素直に読んでいただけでは、そこまではできない(強調しておきますが、原理的思考に基づく読書法は書かれた内容を素直に的確に理解できていることが前提です)。

「だから原理的思考に基づく読書法を行おう!」と思っても、そう簡単にできるようなものではありません。
僕たちは検証型の読書法に慣れていないためです。
実のところ、僕が原理的思考に基づく読書法の芯を掴めた!と思ったのは、西條の『構造構成主義とは何か』を熟読しているときでした。
この本は、著者の西條が先行研究の理路を丁寧に吟味しながら、アテになると判断しうる理路のみ抽出していく論理展開になっていますので、原理的思考に基づく読書法のモデル提示とでも言うべき構造になっているためです。
その意味でこの本は、構造構成主義の体系的理解だけでなく、読書法の学習教材としても用いることができると言えるでしょう。
原理的思考に基づく読書法のイメージがし難い方は、「構造構成主義とは何か」を参考にしてもらえたらと思います。



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