脱中心型首都機能のすすめ

与野党で「副首都」建設の機運が高まっているという記事がありました。
国家的危機管理の観点から、東京直下型地震なども想定して首都機能をバックアップする「副首都」建設を急ぐ必要がある
僕は以前このブログで首都機能移転のすすめを論じたように、基本的に副首都建設は首都機能移転になるため賛成です。
ただ、もしもこの記事の背景に、東京に首都があり、そのバックアップとして副首都があるという発想があるのであれば、ちょっといけてないんじゃないかと思ってしまいました。


この発想からは、日本の首都の基盤となる土台として東京があり、それを柱にしながら複数の副首都がある、という青写真が読み取れると思われます。
だけどもちょっと意地悪なことを言えば、土台が崩れたらその上に積まれたものも一緒に崩れる可能性があるわけです。
これでは、国家的危機管理としての首都機能移転というモチーフは達成できないのではないでしょうか。
日本は世界有数の自然災害国家です。
今後も首都の東京近辺で東日本大震災クラスの自然災害が起こらないとも限りませんし、福島第一原発を上回る被害がでることも否定できません(たとえば浜岡原発)。
そうした条件をふまえると、首都がありそのバックアップとしての副首都ある、という特定の地域の首都の中心性を念頭においたような発想では、うまくモチーフを達成できないのではないか、と思うのです。


なので、国家的危機管理として首都機能移転を考えるのであれば、脱中心性という形式的・機能的特長を持てるようにそれをすすめる必要があるだろう、と僕は考えています。
つまり、全国に分散させた首都機能の相補的ネットワークによって、日本の首都機能が代表されるようなシステムを作ること。
それによって、大災害とその後の人災でどこか一部が機能不全に陥っても、首都機能全体の機能低下が生じる事態を最小限に食い止める可能性が担保されるはずです。
また、相補的ネットワークとして首都機能を展開できれば、テロなどの攻撃に対しても耐性のある国家になるはずです。
補完的ネットワークとして首都機能がシステム化されていれば、首都機能を担うどこかの地域を攻撃されても、他が連携して補完することができるためです。


すると、補完的ネットワークをどう実質化するのか、という疑問がでてくるかもしれませんが、インターネットの発展がそれを支えてくれるのではないか、と思います(なんとなくだけどw)。
もちろん、他にも克服すべき難題がいろいろあります。
だけど、国家的危機管理という観点から言えば、首都機能の基本的土台となる地域があったうえで副首都があるという発想よりも、補完的ネットワークとして首都機能が代表されるようにシステムを整備するという発想から取りかかるほうが、よりよいものになるではないでしょうか。
つまり僕は、現在のような「一極集中型首都機能」でもなく、首都ー副首都という「バックアップ型首都機能」でもなく、補完的ネットワークによってなりたつ「脱中心型首都機能」が国家的危機管理に適しているように思うのです。


すると、日本全体が壊滅するような超複合型災害がきたらどうするのだ?と思う方がいるかもしれません。
このような、想定しうる最大リスクが起これば、一極集中型でもバックアップ型でも脱中心型でもむちゃくちゃになるでしょう。
だけども、すべてが駄目になるような事態が起こらない限りにおいて、脱中心型の補完的ネットワークという首都機能のアイデアは、世界有数の災害国家である日本に適しているのではないかと思います
なお、最大リスクへの対応は日本という土地だけで考えていは駄目で、外交も含めて対策を講ずる必要があるでしょう。
それについてはいずれまた。
【既刊情報】