僕なりの工夫:作業療法の学部教育

僕は学部では、「人間と作業」(1年)、「作業科学1」(2年)、「作業科学2」(3年)、「研究法」(3年)などといった科目を担当している。

このうち、「人間と作業」「作業科学1」「作業科学2」はある目的を通して完全に連動している。

その目的とは「クライエントの『活動と参加』を支援できる作業療法士を育てる」だ。

恥をかくこと前提で、概要を示すと以下のような感じ。

いずれも試行錯誤しながら組み立てているので、よりよい教育内容にするために良い案があったら、ぜひ教えてほしい。




  • 1年生

「人間と作業」は、学生に自身の『活動と参加』がwell-beingにどう影響しているか、を体験的に学べるように構成している。
担当は僕、そしてTAの寺岡睦さん(OBP2.0の提唱者)。
授業準備として、僕たちは国内外の先行研究を調べて、well-beingに特に影響がある作業(活動と参加)を特定し、学生がそれを体験学習できるように、毎回の講義を作る。
講義は演習と宿題がセットになっている。
宿題の内容は、well-beingに影響しやすい作業(活動と参加)を一週間かけて行い、毎日記録をつけて、レポートで提出してフィードバックを受ける、というものだ。

  • 2年生

「作業科学1」は、作業を通して健康と幸福を促進するために必要な専門的知識に加えて、それの実現に必要なマネジメントの知識も学んでいく。
マネジメントは、信念対立解明アプローチを中心に学習している。
扱う知識は、作業科学、人間作業モデル、CMOP-E、OBP2.0、OTIPM、川モデル、OTPF、運動コントロールモデル、認知行動療法モデル、集団力動モデル、精神分析モデル、ICF、IMMDなどなど。
これらはすべて「活動と参加の支援」につなげられるようにしている(つもり)。
学生は、1年次に作業の影響力を体験学習しているので、作業の知識も比較的学びやすくなっていると期待している。

  • 3年生

「作業科学2」は、「人間と作業」と「作業科学1」を踏まえた内容で、作業の知識を簡単に復習してから、後はひたすら事例分析を行っている。
学生は、身体障害領域、精神障害領域、発達障害領域の事例を、作業の観点からどんどん分析し、評価と介入を組み立てるところまで演習していく。
分析の枠組みは、チームワークを前提にしたうえで、作業(したい、するべき、いつ、どこで、誰が、何を、どのように)、作業機能障害(不均衡、剥奪、疎外、周縁化)、心身機能障害、評価と介入、ブレインストーミング。
僕は、学生に対して事例分析に必要な知識をその都度助言し、作業的観点から事例を立体的に捉えて、様々な科目で学んだ知識を動員しながら作業療法を設計できるように支援している(つもり)。
実際の数はもっと少ないが、いちおう学生には「事例分析千本ノック」と伝えている。
ってな具合に進めているが、僕の想いむなしく、多くの学生は講義内容なんてすぐ忘れてしまうだろうと思っている、笑。

僕自身、講義で学んだことは、ほとんど覚えていない。

でもそれでいいのだ。

教育は、たとえ教員の努力のたいはんが無駄になったとしても、いつ目がでるかわからないけども、いつかやってくるその可能性を信じておこなうのだから。