目で見てわかるラッシュモデルと項目反応理論

下図は、まったく同じ多値データを、ラッシュモデルと項目反応理論で別々に解析した結果です。

学生から「『ラッシュモデルは項目の困難度のみ推定し、項目反応理論(の2PL以上)は項目の識別力と困難度を推定する』という言説の意味が理解しにくい」と言われたので、感覚的に理解しやすくするために同一データをラッシュモデルと項目反応理論で解析してみました。

以下は、理解できている人にとっては、本当に単純すぎる話なのでスルーしてください。

いまいちよくわからない人が読み進めてください。

さてさて、両者の結果を見比べると、その違いがとてもよくわかります。

①ラッシュモデルの評定尺度モデル
Rplot01

②項目反応理論の段階反応モデル

Rplot



ラッシュモデルは、モデルの識別力は等しいという条件を持っていますので、4つの項目の傾斜がまったく同じ、位置のみが異なっています。

他方、項目反応理論(識別力を推定するために2パラメーターロジスティックモデルを用いました)は、識別力と困難度を推定していますから、4つの項目で傾斜も位置もぜんぜん違います。

項目反応理論の結果を見ると項目間で識別力がかなり異なるので、ラッシュモデルでモデルの識別力は等しいという条件で解析することに不安を覚えますが、モデルの識別力と現実の識別力の違いとして理解するとよいようです(その辺の事情は『基礎から深く理解するラッシュモデリング―項目応答理論とは似て非なる測定のパラダイム』に詳しいです)。

またよく見ると、①と②では傾斜に加えて位置も異なってます。

項目1は、ラッシュモデルだと2点のピークが右によっていますが、項目反応理論だと2点のピークが真ん中にあります。

項目4は、ラッシュモデルでは右、項目反応理論では左です。

困難度が変わる理由は、何なんでしょうね。

時間があるときに、パッケージの中身を確認したほうが良さそうです。

ラッシュモデルと項目反応理論の違いを体感したい人は、同じデータを使ってそれぞれの方法で解析した結果を見比べるとよいです。

ちなみに今回はRを使って、ラッシュモデルはeRmパッケージ、項目反応理論はltmパッケージを使いました。

使用したデータは、Extended Rasch Modelingのpcmdat2です。

Rは、データもダウンロードできるので、勉強するときにとても便利です。

コードは以下です。

①ラッシュモデルの評定尺度モデル

library(eRm)
data(pcmdat2)
res.rsm <- p="" pcmdat2="" rsm="">thresholds(res.rsm)
plotICC(res.rsm, mplot = TRUE, legpos = FALSE, ask = FALSE)

②項目反応理論の段階反応モデル

library(ltm)
data(pcmdat2)
result.grm <- grm="" p="" pcmdat2="">summary(result.grm,robust.se=TRUE,fit.measures=TRUE,standardized=TRUE)
plot(result.grm, type="ICC")