機械化に負けない仕事にみる壮大な物語



作業療法は機械化に負けない仕事の上位にランキングされる、という話を聞くと、ぼくは開発者たちが100年以上前に込めた意図を思い出します。

当時、産業革命は、機械工業によって近代化を推し進めたものの、その反面、人間らしい生活が疎外されるという問題をもたらしました。

開発者たちは、産業革命によって生じた人間疎外を克服するというモチーフを背景に、人間的生活を守る条件として作業療法を考案したからです。

言うなれば、作業療法は機械化に負けない遺伝子が組み込まれた方法だったわけです。

さて、2013年に、オックスフォード大学のオズボーン先生は職業の消滅率を推定しました。

The future of employment, how susceptible are jobs to computerisation?

今再び注目されている「仕事の未来」と題したこの論文は、人工知能の発展にともなって10年後に職業が消滅する率を推定し、ランキングしたものです。

この中で、作業療法士は生き残る職業(機械化に負けない仕事)の上位にランキングされています。




推定法の問題とかテクニカルな問題はあるでしょうが、それはいったん脇に置いておき、ぼくは100年以上前の開発者たちの意図がこんなかたちで提示されたことに感動しています、笑。


今から100年以上前に、作業療法の開発に関わったのは、建築士、芸術家、医師、看護師、ソーシャルワーカー、教師たちです。

彼らは、ウィリアム・ジェームスジョン・デューイジェーン・アダムス(後にノーベル平和賞受賞)らという知と技の巨人たちの影響を受けながら、作業療法という方法論を構築していきました。

その際、へその緒にあったアイデアのひとつが、機械化による人間疎外の克服というものでした。

それが時を経て、作業療法の組み込まれたDNAが、機械化の進行によっても生き残る仕事というかたちで示されているわけです。

きっと作業療法の開発者たちが上記の論文を読んだら「そりゃあんた当然の結果だよ」と答えるんでしょうね、笑。

「作業療法」というネーミング(訳語)がイマイチと言われることがありますけど、設計図は当時も今もハイセンスです。

何だかものすごく壮大な物語です。