質的研究は目的に応じて使いわける



質的研究というと、とっつきやすいのはGTAやKJ法でしょうけど、本当は目的に応じて使いわけることが大切です。

ぼくたちの研究室では、質的研究もいろいろ進めています。

そのいくつかは研究論文として公表しています。

その経験を踏まえると、質的研究を目的別に使いわけると目的達成に近づきやすい、ということです。

どんな領域でも、目的に応じて方法を選ぶというプラグマティックな原則は役立つものです。

ぼくたちの研究室で使っている質的研究を、2つの目的別にざっくり説明すると以下のような感じ。

1.目的:現象説明型の理論を作りたい

こういうときはGTA系の質的研究がよいです。

一言でGTA系と表しても、MGTAとかSCGTAとかいろいろあります。

しかしユーザーとしてはまず、これ(ら)が、対象者の語り(データ)に根ざして概念を起こし、概念観の関係性を整理し、理論を構築する方法である、と大きく把握しておくと良いです。

おすすめ書籍は以下です。

西條さんの書籍は、SCQRMはM-GTAを布石に展開しており、さらに使いやすいかたちで再提示しているので、現象説明型の理論を作りたいとに読むと良いです。



2.目的:個別法則と一般法則を同時に見つけたい




こういうときは、事例コードマトリックスと複線径路等至性アプローチがよいと思います。

事例コードマトリックスは、表の作り方にコツがあります。

縦軸に事例を配置し、横軸にコードを配置します。

そして、どのコードがどの事例に該当するかを見ます。

特定の事例に反応するコードは個別法則を表します。

他方、事例に共通して反応するコードは一般法則です。

「木を見て森を見ず」という諺がありますが、これは木も森もみる方法です。

もうひとつの複線径路等至性アプローチは、時間経過を組みながら個別法則と一般法則を抽出する方法です。

事例コードマトリックスとの違いは時間性をモデルに組み込めるかどうかです。

人生にはいろいろな選択肢があり、どれを選ぶかによってあり様が規定されます。

これはなかなか面白い方法で、複線径路等至性アプローチはそうした人生経路を解明する手法になっています。

データ分析はKJ法と組み合わせて行ったり、いろいろ模索されている状態ですけど、作業療法だったらさまざまなテーマで使えると思います。



という感じで、質的研究は目的に応じて使い分けていきましょう。