作業療法の始祖ジモンにみる先進性



クライエント中心の作業療法は、クライエントの作業に関する意思決定とそれにともなう責任をクライエント自身にも担ってもらう、ということを前提にしています。

これは比較的新しい考え方のように受け取られていますし、ともすれば先進的すぎるという思われがちです。

しかし、実はそんなことありません

1929年の文献ですでに、クライエント(当時は患者)が無責任であるということは、作業療法を通して廃絶する必要があるという議論が行われていました。

そう主張したのは、ドイツで作業療法を切り開いた医師Hermann Simon(1864〜1947)です。

彼は作業療法の始祖の一人です。

Simonは、精神医療の本質に作業療法があると考えていました。

そして精神病を持つ人々を危険にさらす要因として、患者の無為環境の劣悪さ患者の無責任性の3つを掲げました。

これは、治療(つまり作業療法)で絶えず対決しなければならない三大悪に位置付けられています。

今みてもこれはなかなか先進的な考え方です。

いろいろ論じているのですが、ざっくり要約すると;




  • 患者の無為は、患者にとって有意義な作業を行うことによって克服できる可能性があります。
  • 環境の劣悪さは、精神病の悪化につながることから、より快適な環境調整を行う必要がると論じらえています。
  • そして患者の責任性は、患者がしっかり作業に参加できる条件を整えることで解消される可能性があります。
などの議論が豊かに展開されています。

退屈は昔から作業療法で対処すべき問題だったんです。

Simonは日本の伝統的作業療法の誕生にも影響を与えています。

昭和7年にはすでに日本で紹介されていますし、直接指導を受けた医師の長山泰政先生たちの尽力もあって、occupational therapyが導入される以前に伝統的作業療法が発展することになりました。

Duntonの作業療法の原理もそうでしたが、作業療法という実践のあり方は、今も昔も同型の原則でつらかれています。

創世記から現代まで作業療法の大事なポイントは大きく変わっていません。

ちなみに、Simonは論文や著書をドイツ語で書いていますが、なんと日本語でも読めるんですよ。

関心がある人は是非どうぞ。

今で通じる透徹した洞察に目が開かれると思います。

タイトルは精神科となっていますが、基本原則はどの領域でも通じます。