算定要件に合計得点で大丈夫?

先日、中央社会保険医療協議会 総会(第328回) 議事次第が公開されました。

気になったことのひとつは、「回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカムの評価」はFIM(Functional Independence Measure 、機能的自立度評価法)の運動項目得点で算定要件のあれこれを判断するかたちになっているところです。

算定要件は、退棟時FIM運動項目得点ー入棟時FIM運動項目得点の総和を、各患者の入棟から退棟までの日数÷算定上限日数の総和で除した値が27未満というものです。

よく知られているように、運動項目は下位にセルフケア(食事、整容、入浴、更衣(上半身・下半身)、トイレ)、排泄コントロール(排尿、排便)、移乗(ベッド・椅子・車椅
子、トイレ、シャワー・浴槽)、移動(歩行・車椅子、階段)を含みます。

また採点方法は7〜1点のリッカート式で、7点が完全自立、6点が修正自立、5点が監視、4点が介助(最小)、3点が介助(中等度)、2点が介助(最大)、1点が全介助になります。

FIM運動項目得点は合計で求めるので、最大で91点、最小で13点になります






で、ぼくの疑問は、合計得点で各患者のADL能力を適切に表現できるのか、というものになります。

上述のように、FIM運動項目得点は91点満点ですが、20点と21点でADL能力に実質的な差があると判断できるのでしょうか。

たぶんこれは、みっしょん・いん・ぽっしぼーな問題です。

身長計の場合、170センチと171センチの差は、確実に前者に対して後者が1センチ大きいと判断できます。

体重計もそうです。

でもFIMに限らず、尺度の精度は、ADL能力が20点と21点の人がいて、後者が確実にADL能力が高いと判断できるほど高くありません

尺度の精度はそこまでよくないんです。

しかし算定要件では、毎月の入棟患者数の100分の30を超えない範囲でFIM 運動項目得点が20点以下のもを算出から除外できるとなっており、この1点の差に実質的な意味があると判断しています。

事実上、1点の差に意味が生じることになるわけです。

危うい感じがしますね。。。

社会的資源の分配問題に、合計得点というナイーブな基準を導入することが妥当かどうか、という観点からの議論が必要でしょう。

公益に関わる問題なので、能力値の推定の精度をもうちょい高めるために、せめて項目反応理論で算定を運用するにしましょうよ。