【講義メモ】作業科学(2016年4月6日)

今日から学部2年生を対象にした「作業科学」の講義がはじまりました。

学生が復習できるように、本日の講義の重要ポイントをザッとまとめておきます。

今年度は、講義終了後に「まとめ」をアップしていこうと思います。

いつまで続けるかわかりませんがwww。

以下の内容は要約に過ぎないので、講義を受けていない人にはわかりにくいかもしれません。

どうかご了承ください。



学問にはそれぞれ目的があります。

例えば、解剖学には人体の仕組みを理解するという目的が、生理学には生体機能の機序を理解するという目的があります。

同じように、作業科学にも目的があります。

大きく示すと、それは「作業とは何か」という問いに答えることです。

この問いに対する解答は、この講義を通しておいおい深めることになります。



では、作業科学と作業療法はどういう関係でしょうか。

基本的に、作業療法は作業を通してウェルビーイングを促進する実践です。

ウェルビーイングというのは、いろいろ解釈ができますけど、ひとまず身体的、精神的、社会的に満たされた状態だとでも言っておきます。

作業療法は、作業を通して多面的に満たされた状態を構成していくこと、が主な役割です。

作業科学には、そうした作業療法の機能を引き出し引き延ばす役割があります。

つまり作業療法を基礎づけて、その可能性を延伸することが、作業科学の存在理由のひとつです。

そのために、作業科学では「作業」そのものにスポットライトを当てることになります。



作業科学や作業療法では、作業は「人間が意味を感じながらすること」、「よりよく生きるために必要な諸活動」、「仕事、遊び、日課、休息」などのようにとても豊かに解釈されています。

豊かな解釈は、領域の成熟を反映しているので、初学者には難しいかもしれませんが、それ自体が問題というわけではありません。

成熟とは多様性を帯びながら展開することです。

さて他方、一般の辞書で作業=occupationを調べると、仕事、職業、占領などの意味です。

作業科学や作業療法で用いるような豊かな意味は、そこで見いだすことはできません。

つまり、われわれの領域と一般では、この概念の意味に大きな隔たりがあります。

いつ、どうして、こういうギャップが生まれたのでしょうか。






そのルーツは、ジョン・デューイという哲学者に求めることができます。

彼は、作業療法の創始者たちの同僚であり、師であり、アイデアの厳選でした。

デューイがoccupationという概念に特別な意味を込めて発表したのは、1886年の『幼稚園雑誌』が最初だと言われています。

それ以前はworkやsocial activitiesなどといった別の表現が採用されていました。

膨大な議論があるので、要約すること自体が難しいのですが、彼がoccupationに着目したきっかけは、アメリカの開拓の歴史、産業革命、概念の性質などから理解することができます。

当時の時代背景を踏まえると、生きることはすなわちoccupationであり、成長と健康はoccupationによって構成される事象だったわけです。

ここが起点になって、われわれの領域の中核概念は、一般の辞書とは異なる豊かな意味を育みながら、多様な解釈を展開することになります。

世界初の作業療法の教科書における作業の定義は、デューイのoccupationの定義を直接引用したうえで理路が構築されましたし、作業療法哲学もまた彼の哲学を援用したものでした。

その他、作業療法の創始者たちとデューイの分かちがたい関わりは、多くの文献が示してくれています。

われわれの領域の作業という概念の意味を理解するには、デューイとの関係性から理解しておく必要があります。