【講義メモ】作業科学(2016年4月25日)

少し空きましたが、学部3年生に対する作業科学の講義メモです。

今回もたくさんの演習を取りいれましたが、講義メモでは解説した内容に補足説明を加えて再構成します。

以下は要約なので、理解しにくい部分があるかもしれませんがご了承ください。



前回話したように、作業科学では、作業の視点から世界を理解し、支援を行います。

作業の定義はいろいろありますが、大きく示すと、作業とは、人間が行うことであり、文化のなかで名づけられた特定の活動の一群であるというものになります。

要するに作業とは、人々の生活を構成している仕事、遊び、日課、休息ということができます。

これらは、平たく言うと暮らしですよね。

なので、作業科学という切り口でいくと、クライエントに対して作業療法を行うには、
  1. この人は、どんな作業を行い、どんな作業機能障害を体験しているのか?
  2. この人は、どんな疾患・障害をもっているのか?
というステップで思考することが大切になります。



以上を踏まえたうえで、作業療法では、クライエントの人生にとって有益な作業に関わること(engaging occupation)、あるいは実際にその作業ができること(enabling occupation)、が実際の支援で必要になってきます。

作業に関わる(engaging occupation)というのは、実際に作業しなくてもその場で作業を共有しているという状態です。

例えば、野球を行うことが好きなクライエントが、野球観戦に行くときは、野球という作業ができているわけではないけど、作業に関わっている状態として理解できます。
他方、作業ができる(enabling occupation)とは、意味を感じる作業が実際に遂行できること、です。

例えば、家族を養うために仕事がしたいクライエントが、いろんな支援を受けて実際に就労し、給与をもらうことができたら、作業ができている状態として理解することができます。

作業ができるようにならなくても、その人にとって有益な作業に関わることができるようになったならば、作業療法はさしあたり成功していると解釈できます。

作業という視点で世界理解、対人支援を行うには、この2つの介入を把握しておくことが重要です。






作業に関われない、あるいは作業ができない状態は、作業機能障害とあると理解できます。

作業機能障害とは、何らかの要因で生じる作業上の問題であり、人々の健康状態とwell-beingの悪化に作用すると考えられています。

医師が疾患・障害を直接扱うように、作業療法士は作業機能障害の評価と介入の専門家です。

作業機能障害に介入するときは、どう支援したら作業に関われるか/作業ができるか、という切り口からリーズニングしていきます。

具体的な支援は、繰り返して作業に関わる/作業に取り組める機会を提供することを基盤に、
  • 環境調整
  • 心身機能への介入
  • 健全な習慣化の構築
  • モチベーションの促進やセルフコントロールの強化
等を行うことになります。

このうち学生が特に見落としがちなのは、作業に対するセルフコントロールの強化です。
作業療法士は、できない/関われない作業を改善するわけですから、クライエントはある程度自分で自分を制御できる必要があります。

学生のうちは、クライエントの興味や価値に注意を払えても、これへの配慮が欠けていることが多いケースがあるので、しっかり意識しておきましょう。