BUGSで学ぶ階層モデリング入門

再読なう。

最初読んだときはとても難しかったですけど、繰り返し読んでいるうちに少しずつ理解できはじめている感じがあります。

個人的にはかなりヒットです。



豊富な例題はすべて生態学で、とても高度な領域だなぁと感心しました。

普段ほとんど接点のない領域なので、読んでいると好奇心が刺激されるとともに、直に観測できない対象にアプローチするためのさまざまな工夫に驚きます。

ぼく(医療系)のような門外漢は、最初の第1章から第4章を中心に繰り返し読むとよいと思いました。

第1章から第4章は、生態観測の本質→ベイズ統計モデル→GLM→GLMMへと展開し、単純な統計モデルから階層モデルへと順をおって学べます。

階層モデルは、下記のように複数の層で変数が構成されます(p48参照)。
  1. x ~ f(ω)
  2. y ~ g(x, θ)
そのメリットは、複雑なモデルを驚くほど正確に推定できたり、観測困難な対象の推定ができたり、観測誤差の影響を小さくできたり、それはまぁ本当にいろいろあります。

医療系の人間は数式だけみてもピンとこない人もいると思うので、実感をもって理解を深めるにはBUGSコードを実際に写経し、Rで動かしていくとよいです。

いまそれを実際にやっているのですが、やっぱ読むだけよりも理解が進むと感じます。

ただし、本書の中に記載されたコードはWinBUGSなので、macユーザーのぼくはJAGSやStanに置き換える必要がありました。

WinBUGSとJAGSは同じBUGS言語ですが、ビミョーに違うところもあってそれがよくわからないときは、以下のサイトが本書の内容をJAGSコードに書き換えてくれているので参考にするとよいです。
Stanの場合は、以下のサイトを見てください。
StanとJAGSでコードを写経するときは上記のサイトを活用させてもらいましょう。




先日の某医療系の学会に参加したら、そりゃまずいでしょというデータでもお構いなしに単純な線形モデルに当てはめた研究が多かったです。

そういう状態を踏まえると、何でこんなにややこしいことせなアカンねんと思うひともいるかもしれません。

その答えはひとえに、対象者に妥当な知見を還元するためです。

研究は対象者から貴重な時間を頂くことによって成り立ちます。

時間とは生命とほどんど等価ですから、協力していただいた以上は妥当な知見を還元しないと駄目です。

そのためには、研究デザインを厳密に組むと同時に、得られたデータは可能な限り適切に解析する必要があります。

階層モデルは、そのニーズに応えてくれるツールになるだろうと思います。

医療系でいうと、階層モデルは医学などではいろいろ使われていますが、作業療法はまだまだな感じなのでもっと普及したら良いなぁと考えています。

次のぼくの著書のテーマは作業療法研究法です。

この辺の話題も作業療法士にわかりやすく示そうと思ってます。

ですが、作業療法研究法の出版までまだ時間がかかるので、作業療法士の皆さんはぜひ本書『BUGSで学ぶ階層モデリング入門』にチャレンジしてみてください。

視野が広がりますよ。