哲学の動向



岡本裕一朗さんの『いま世界の哲学者が考えていること』を読みました。

感想を一言で表せば、推薦図書です。

本書は哲学のレビュー書であり、哲学という方法が、いま現に生きている世界を原理的に解明するという使命をもって、現代も活発に息づいていることがよく理解できます。

例えば、第2章ではIT革命が人類にもたらす意味を、哲学的にどう考えられているのかが明快に紹介されています。

続く第3章ではバイオテクノロジー、第4章ではグローバリゼーション時代の資本主義の在り方、第5章では人類と宗教、第6章では人類と地球をテーマに、哲学者たちが考えていることをわかりやすく紹介しています。



ぼくが個人的にとてもありがたいと感じたのは、第1章でした。

この記事の冒頭で図を示しましたが、本書の第1章では18世紀ごろから現代までの哲学の大きな転回を非常に明確に示しています。

哲学はめちゃくちゃ豊かな領域なので、ぼくのような門外漢はこういう見取り図があると他の書籍を読むにしても理解が進みやすくなります。

哲学はリチャード・ローティのネオプラグマティズムに代表されるポストモダンの洗礼をうけて、言語論的転回を向かえました。

これは、主客問題中心だった哲学を、言語の分析を深めることによって哲学的難題を根本から解明できるという見解をもたらしました。

ポスト言語論的転回は、言語論的転回の構築主義と相対主義という帰結からいかに脱し、新しい哲学的地平を開くか、という問題に挑むことになります。

本書によると、その格闘の過程で生まれつつあるのが、実在論的転回、自然主義的転回、メディア・技術論的転回です。

ぼくの関心からいうと、フッサール・竹田流の現象学や構造構成主義がどういう位置づけになるのか、現代の哲学者たちの議論は信念対立解明アプローチや作業療法の発展にどう役立つか、を考えるうえでとても興味深い議論が紹介されていました。

詳細に興味がある人はぜひ本書を手にとって確認してみてくださいね。