あれこれ試す


作業療法では、あれこれ試すプロセスがとても重要です。

どの作業がクライエントにフィットするかは、実際にやってみないとわからないからです。

例えば、ぼくはランニングが趣味ですけど、楽しい気分になるかは実際に走ってみないとわかりません。

走ってみると楽しさよりもしんどさが勝ってしまった、ということがあるからです。

また同じ人でも作業があうかどうかは、であうタイミングによっても変わります。

例えば、現在ぼくは統計が好きで楽しくてしょーがないですけど、数年前までは質的研究が面白くて統計にいまほど魅力を感じませんでした。

これらの例は、自分の作業でさえいろいろ試すプロセスがないと、何が人生に意味をもたらすかわからない事態を表しています。


臨床では、赤の他人(クライエント)にしっくりくる作業を見つけないといけません。

言葉では、「パソコンに興味がある」「園芸がやりたい」といっていても、それがあうかどうかはタイミングによって、そのときの気分や環境によって変わります。

面接でクライエントが「ウォーキングがしたい」と言っても、実際にやってみたら思っていたよりもしんどいので、他のことがしたいというのは普通に良くある話しなんです。

これは、作業療法士の腕が悪いとか、クライエントの見通しがあまいとかではなく、作業と人のつながりは構造上そうなっている側面があるのです。

だから作業療法では、あれこれ試すプロセスがとても大切になるんです。

現代のパラダイムの基盤になった作業行動を提唱したマリー・ライリー先生は「探索」の重要性を強調しています。

これは、どういう作業がクライエントの能力を引き出し、癒やしにつながるかを、実際に行うことに先立って決めることができないから、導入でいろいろ試すプロセスをもちましょうという意味がこめられています。

何があっているかは、いろいろ試してみないとわからないのです。