私的連載術


過去に、『看護学雑誌』(医学書院)、『治療』(南山堂)、『看護主任雑誌』(日総研)、cbnewsで4つの連載を体験しました。

cbnewsの連載は継続中ですが、ひとりで年間を通して連載できる経験はとても貴重です。

はじめて連載する人の参考になるように、ぼくなりの工夫を簡単にまとめておきます。

某編集者に〆切を大きく遅れたことが一度もないという理由で「奇跡の人」と評されたので、きっと誰かの参考になると思います、笑。

目次を作る

連載をはじめる前に、全体の目次を作ります。

目次の内容は、出版社の意向もあるため、著者単独では決められません。


なので、担当編集者の意見をもらいながら、1年を通してどういう内容を論じるか、を目次で表します。

途中で目次を変えたい気持ちになることもありますが、基本的にその場の思いつきで流れは変えないようにしました。

変えたくなるときはうまくいっていないときですし、そういう状態で思いつくようなアイデアは大抵ろくでもないからです。

前倒しで進める

連載の〆切は毎月あります。

それに追われるように書きはじめるわけですが、本当の〆切よりも前に仮の〆切を立てるようにしました。

いろいろイレギュラーな問題が起こるので、実際の〆切に照準を当てていると、何かあったときに原稿を落としかねないからです。

出版社への迷惑を考えると、それはできるだけ避けたい事態です。

ぼくの場合、仮の〆切は遅くても本当の〆切の約2週間ぐらい前に設定しています(たまに守れないこともあるm(_ _)m)。

無事に決められた期間の連載を終えるためには、前倒しでどんどん進めましょう。

読み切りにする

連載は基本的に続きものです。

なので、次に続くかたちで論じたい気持ちになります。

実際、ぼくもはじめてやらせていただいた医学書院の連載では、続きもので書きました。

しかし雑誌の月刊連載の場合、これはあまりよろしくなかったと反省しています。

読者がひと月前の内容を記憶していると前提することができないし、途中から読みはじめた読者を引きつけることが難しいからです。

類い希な文才があれば別かもですけど、雑誌の月刊連載では可能な限りにおいて1話で完結させるようにしましょう。



型を守る

連載していると、いろんな話題で書いてみたいという欲望にかられます。

すると、途中でぜんぜん違う方向に話が飛んだり、全体の流れにそっわない回があったりしてきます。

連載には全体の目的がありますから、その目的を達成するための方法として、もっとも効果的だと思われる型を見つけたら、後はひたすらその型にそって書いてくようにしましょう。

例えば、『治療』(南山堂)の連載を見てもらうとわかりますが、2年間を通して基本的に同じ型で書いていることがわかると思います。

同型の型で書き続けると、読者は毎月の議論にすっと入りやすくなり、著者が伝えたいことが伝わりやすくなると思われます。

通読しなくても理解できる

これは直近の連載でもっとも意識していることですが、原稿の一部分のみ読まれても主張したい内容が伝わるように書くことが大切だと考えています。

自身の連載は、多数あるコンテンツのひとつにすぎませんので、それに強い関心をもっている読者がいると前提することはできません。

なので、読者が何となく雑誌を手にとり、パラパラっと頁をめくったときに、たまたま目に入る言葉を通して、著者が主張したい内容がちょびっと伝わるようにしておく必要があります。

具体的には、導入にポイントを記載する、小見出しに内容を凝縮する、最後のまとめで言いたいことをギュッと詰める、などです。

書き手は、すべての人間には24時間しかなく、その中で活動選択をしているという前提のもとで、自身の論考は多くのコンテンツのひとつに過ぎず、ほとんどの読者がたいして関心を持っていない、というクールなスタンスで魂を込めた文章を書いていく必要があるのです。

自身も成長しながら書く

1年以上にわたって、同一のテーマで連載していると、著者も読者もだんだんマンネリ化する可能性があります

そうすると、書き手も読者もつまらなくなりますから、そうした事態は避けなければなりません。

なので、ぼくはたまたま連載させていただいているけども、いまもまだまだ未熟者であり、多くの人に有益な知見を届けるためには、自身がさらに発達していかない、と思いさだめて研鑽を重ねることに注力するようにしています。

成長のとまった著者が書く連載なんて、死んだ魚を展示している水族館のようなものです。

それを見せる目的の連載ならよいですけど、そうでないなら読者に何らかの主張を伝えるために、連載を通して、また日々の研鑽を通して、著者がそれ以上に学習していかなないとお話にならないと考えています。