作業療法の3つの源流




作業療法の創始者であるバートン、ダントン、トレーシー、マイヤー、スレイグルらは、デューイのoccupationという概念で結ばれています。

しかし彼らが作業療法を創出した背景はこれだけではありません。

大きく言うと、

  • プラグマティズム
  • 道徳療法
  • アーツアンドクラフツ運動
が作業療法の源流を支えています。

プラグマティズムは、19世紀後半から現代まで続く哲学運動であり、基本モチーフはイデオロギーの対立の克服でした。

今風に言うと、プラグマティズムは信念対立の克服がテーマです。

ぼくが体系化を進める信念対立解明アプローチもまた、信念対立の克服がメインテーマです。

作業療法の哲学であるプラグマティズムと信念対立解明アプローチは根本モチーフでつながっているんです

プラグマティズムに関してはいろんな議論があります。

簡単に言うと、この哲学は、信念対立があるときに、現に役立つものを優先させることによってそれを克服しようとします。

プラグマティズムは、結果的に役立つならそれ使えばいーじゃんという立場にたつことで、信念対立を克服する可能性を示したのです。




道徳療法は、作業療法の源流としてもっとも有名です。

これは18世紀から19世紀にかけて、精神障害者のための治療法として活用されました。

起点にあるのは、精神障害者は治療が必要な状態であり、適切な作業を通して健全な心身を育み、人間性の回復を促進する、というピネルらの実践です。

道徳療法は可能性の方法として注目されました。

しかしその後、社会経済情勢の悪化などの影響で衰退しました。

その血脈は途絶えず、作業療法の創始者たちに受け継がれましたが。

19世紀後半にはじまったアーツアンドクラフツ運動は、美術工芸運動かつ社会変革運動です。

その根本モチーフは、産業革命で失われた人間の尊厳を取り戻すことです。

現代の作業療法の治療手段に手工芸があるのは、これの名残です。

アーツアンドクラフト運動は、手工芸が病者や障害者の健康や幸福を改善し、社会参加を促進する、という作業治療を展開したからです。

アーツアンドクラフツ運動における作業治療には、作業の「質」と「過程」に着目する立場がありました。

現代作業療法につながったのは、後者の作業の過程を重視する考え方です。

作業療法の源流は、ぼくたち作業療法士にいろんなかたちで影響を与えています。

歴史的視点で作業療法の実践をとらえるようにしましょう。