作業形態と作業遂行の区別


作業療法の創始者たちは、作業という概念に行動、生活、精神、身体、時間、空間などの多様な意味を見いだしました。

しかしそれは、中核概念が曖昧であるという批判を生みました。

結果として、それは作業療法の存在意義ごと危なくなる事態を引きおこしました。

過去の反省を踏まえて、作業療法では作業という概念が精緻化されていきました。

作業に関する議論は膨大にあるので、議論を方向づたものにひとつ焦点化すると、Nelsonの作業形態(occupational form)作業遂行(occupational performance)という分類を挙げることができるでしょう。

この議論は、作業の一般概念(象徴)と実際に行う行動を区別することによって、作業の研究には作業の一般性の探究と個人や社会によって意味づけられた作業の探求がある、という視点をわれわれの領域にもたらした点で秀逸です。

作業科学や人間作業モデルにもそのまま導入されている視点ですから、そこからもいかにその視点が斬新だったか理解できるはずです。





では、作業形態と作業指向はどう区別されたか。

作業形態とは、実際の作業遂行に先立って存在する構造であり、それ(作業遂行)を引きだし、導き、組み立てることに影響するものだ、と考えられています。

他方、作業遂行は作業形態に応じて生じる人間の行為です。

作業形態は現に作業遂行する前から成立している作業の既存の構造を表し、作業遂行は現にそれを行っている状態を意味します。

例えば、インスタントラーメンをつくるために必要な手続きは、ぼくたちが実際にそれを行う前からおおよそ決まっています。

これが作業形態です。

そして、その手続きは、実際に作りはじめると具体的な行動の構成に影響を与えます。

作業形態にそって起こる行動が作業遂行です。

こーした議論の積み重ねで、当初は曖昧だった作業の概念がだんだん精緻化されていったわけですね。