作業療法の役割



作業療法の哲学を提唱したアドルフ・マイヤー医師は、作業療法の役割は指示ではなく機会(opportunity)を提供することである、と論じました。

マイヤー医師は、作業を通して健康と幸福を促進するためには、働く機会、遊ぶ機会、セルフする機会、休息する機会を作りだすことが重要であり、そこに作業療法の役割を見いだしのです。

「あーしろ」「こーしろ」と指示する暇があったら、経験する機会をしっかり創れと。

この考え方は特殊なものではなく、初期型作業療法の文献に共通してみられるものです。

現代作業療法は初期型作業療法の現代化をめがけています。

つまり、OBPを実践するために、ぼくたち作業療法士は人間に機会を提供する知識が求められるのです。

では、それはどーいった知識だったのでしょうか。




そのひとつは、人間は経験(思考、感情、行為)を通して学ぶというものです。

もうひとつは、人間は時間の感覚(過去、現在、未来)をもっているという知識もベースにしていました。

例えば、熱せられたヤカンに触れて火傷した人は、その経験から再び熱いヤカンに触れないように学ぶでしょう。

また、友だちと遊んでいるときに強い自己主張で喧嘩になった人は、その経験から友だちと楽しく遊ぶには意見の調整が必要であると学ぶはずです。

このように、初期型作業療法は、人間が経験(思考、感情、行為)を通して成長するという知識を前提にしていました。

また、人間は過去の経験で学んだことを、現在に活かしつつさらに成長し、希望する未来のために経験を重ねていくと考えていたのです。

人間に機会を提供するために、初期の作業療法士はいまこの現在で過去の学びを活かしたり、未来につながるような経験を提供していく、という視点を求められたのです。

そして、その現代化を図るぼくたちもまた、そーゆー知識を必要とされていると言えるでしょう。