根は深い



あれこれ試すことは、作業療法のルーツにしっかりつながっています。

適切な作業=occupationが人間の成長と健康に肯定的な影響を与える、と最初に気づいたのは哲学でした。

その哲学はプラグマティズムと呼びます。

提唱者はチャールズ・パース。

継承者はウィリアム・ジェームスとジョン・デューイ。

作業療法に直接影響を与えたのは、継承者の2人です。

特にデューイは、作業=occupationが人間に欠かせないと指摘し、そのアイデアが世界ではじめて作業を通した治療を体系的に論じたトレイシー、作業療法哲学を提唱したマイヤー、その実践者のスレイグルらに強く強く影響を与えました。

作業療法の創始者たちの「師」が哲学者なのです。


作業療法のルーツであるプラグマティズムの根本モチーフはさまざまな対立を克服することです。

いま流にいうと、それは信念対立になるわけですけど、プラグマティズムもまたその調停が一番のテーマでした。

基本的立場は、対立によってうまくいかない状況が顕在化し、いろいろ仮説を立ててある程度うまくいく方法を予測しつつも、実際にやってみなければその方法が役立つかどうかよくわからない、というものでした。

つまりプラグマティズムでは、結果の良し悪しで方法の妥当性を判断するという理路を敷くことによって対立を調整しようとしたわけです。

これは哲学的思考であり、科学的思考でもあり、対立調停のプロセスであれこれ試すわけです。

この100年以上前の哲学のアイデアは、いまに残る作業療法の探索(あれこれ試す)という考え方に水平展開されています。

あれこれ試すことは、決して現代流の軽薄な考え方ではなく、作業療法のルーツにしっかりつながっているのだ、とご理解いただけたらと思います。