OFPの意味



作業に根ざした実践(Occupation-Based Practice、OBP)に類似する用語に、作業に焦点化した実践(Occupation-Focused Practice、OFP)があります。

Fisherさんが以下の論文で概念整理しています。


上記の論文によると、OBPは作業を基盤に評価と介入を行うことで、実際の作業への関わりがともないます。

例えば、クライエントのADLの状態を知るために、馴染みがあって必要なADLを実際にやってもらったら、それはOBPです。

仕事でパソコンを使う必要があり、実際に作業しながら上達していく機会を提供したら、これもOBPです。

OBPでは評価と介入を行うために、作業に関わる機会を提供するのです。

では、OFPとはなんなのかという疑問が生まれますが、上記の文献でそれを整理してくれています。





Fisherの概念分析によれば、OFPとはいま現在必要な作業にしっかり注意を向けること、と理解することができます。

論文では、proximalとかimmediateなどの概念を使いながら説明しており、ぼくはいまいち彼女の主張の意味の芯を根っこから掴んでいる感覚をもっていなかったのですが、改めて熟読しているとストンと腑に落ちる感じで理解できました。

よーするにこれは、作業療法士の注意がいま現に求められている作業にしっかり向かっている状態を表しています。

ポイントは、作業療法士の最大の関心事が作業にあるかどうかです。

ただしこの作業は、将来的に必要になるだろうという予測に基づくものではなく、実際にいま必要(したい/する必要がある)なものに限っています。

つまり、OFPは、作業療法士にクライエントの実生活に軸足を置くように求めるのです。

そのうえで、OFPは作業療法士に、目の前にクライエントがいたら作業に最も注意を払うように促してきます。

だから、以下のようなケースはOFPではありません。

クライエントに対する作業療法士の一番の気がかりが、
  • 心身の機能・構造に向かっている
  • 環境に向かっている
  • 文脈に向かっている
  • 単なるおしゃべりに向かっている
などの場合はOFPになりません。

例えば、作業療法士の焦点の中心が身体機能の改善にあり、その結果として作業遂行の改善を予測している状態はOFPではないのです。

Fisherの議論はよくできていて、OFPかどうかは相対的に決まるとしています。

つまり、作業療法士の関心の中心が作業にあって、それに関連づけるかたちで心身機能・構造、環境、文脈、世間話などがついてくるならばOFPであるというわけです。

Fisherの概念分析をベースに考えれば、OFPは医学モデルなどを排除するものではなく、作業療法士の注意の中心が作業に向かっており、作業に紐づけながら医学モデルなどのアプローチも活用していけるわけです。

Fisherは言及しませんが、ぼくたちの考えではOBPはOFPの上位モデルであり、OFPはOBPの入り口です。

作業療法によってクライエントに貢献したい人は、作業に注意を向け続けられる作業療法士になりましょう。