EBMとVBPと精神障害領域作業療法



精神障害領域作業療法では、Evidence-Based Practice (EBP)とValue-Based Practice (VBP)を統合しましょう、という動向があります。

以下の書籍では特にそれが顕著です。



EBPは、目の前にいるクライエントに関連する科学的知見(メタ分析やシステマティックレビューなど)を活用するものです。

他方、VBPは関係する人たちが各人の価値観を共有し、共通了解可能な意志決定を促進するものです。

精神障害領域作業療法では、EBPとVBPを活用することによって、エビデンスと個人の価値観・ニーズ・興味・状況をしっかり結びつけていく必要があるというわけです。

そしてこれは、作業に根ざした実践(OBP)の中心要素であるクライエント中心の実践(CCP)の不可欠な部分を構成すると主張されています。




もう少し説明すると、EBPにはステップ4があって、そこではエビデンス、患者の価値観、臨床家の専門知識の統合を実行することになっています。

つまり、EBPにはVBP的な要素が元々あるわけです。

しかし、EBPに対する誤解もあって、そのニュアンスがなかなか正確に伝わらない。

そこで、精神障害領域作業療法では、戦略的にVBPを導入することによって、クライエントに関連して問題になってくる価値観を整理し、共有し、エビデンスと価値観を踏まえてバランスの良い臨床判断を行っていこう、というわけです。

そしてそれは、作業療法士が不可欠だと思っているOBPやCCPの要素に含まれるものである、そう主張しているのですね。

本書は、精神障害領域の作業療法士が各人の価値観を共有しながらエビデンスを活用するのは当然である、と教えてくれます。