専門性の違いを理解するコツ



作業療法と理学療法のように,専門性がどう違うのかわからないときは,それらのルーツを探るという方法が役立ちます.

ルーツを探ると,単純にギリシャ哲学に戻ってしまうことがあります.

しかしそれは安直にやると,あんまり意味がないです.

すべての学問の源流はだいたいギリシャ哲学にあるので,いきなりそこまで立ち返ったとしても新たに得られる知見はほぼありません.

なので,ルーツの探索はまず,その専門領域が成立した時期の前後で踏みとどまることになります.

前後と言っても,2〜3年ぐらいのスパンじゃないですよ.

やっぱ数十年の範囲は見ていてほしいし,過去に関しては成立前後からプラス数百年は立ち返ることもあります.

それによって,もしかしたらギリシャ哲学に戻るかもしれませんが,たとえそうだとしてもとにかく成立前後の時期の解像度を高めることが大切です.

専門性の違いを理解するために時間を巻き戻したら,①創始者たちの判断に影響を与えた出来事,②創始者たちの根本動機,③創始者たちが採用した方法とその影響,などを中心に把握していきます.

①では,どういう時代的要件が専門領域を立ち上げた人々に影響を与えたのか,を理解していきます.

例えば,作業療法では産業革命がそのひとつになります.




これによって,社会の工業化が進み,人間の人間性を引き出す機会が失われ,充実した時間を過ごせなくなり,作業療法(=時間の有効活用を支援する技術)が生みだされる,という展開につながるからです.

②では,何のためにその領域を生みだしたか,を理解することになります.

これも作業療法を例にすると,「障害をもっても時間を有意義に過ごせるようになるために」が根本動機のひとつになります.

充実した時間を過ごすことは,人間が人間らしく生きるために欠かせないと考えられていたからです.

③では,特定の時代背景のもとで,根本動機を達成するために,どういう方法が創出されたのか,を理解していきます.

作業療法で説明すると,活き活きできる活動=作業(occupation)に取り組むこと,という方法が採用されています.

充実した時間を過ごすためには,身も心も占有(occupation)するような経験が必要だからです.

上記の方法を,違いを知りたい領域に対してそれぞれ行います.

例えば,作業療法と理学療法の違いについて理解したいなら,作業療法と理学療法でこれを行うわけです.

それぞれの①から③を把握したら,次に比較します.

すると,専門性の違いがクリアに理解できるようになります.

その例のひとつが以下です.
 専門性の違いに関心がある人は,ぜひ試してみてくださいませ.